リソースの少ない中小企業がSDGsの取り組みに成功している事例は参考になりますよね。
でも、たいていの記事は事実の羅列だけ。たまに詳しく書かれたものは、さっと理解するには文章量が多すぎます。
ところで、SDGsに取り組むような企業は、いまどき中小企業でも取り組み紹介のYouTube動画を作成していることが多いですね。
動画であれば詳しい内容を短時間に理解しやすいですね。
そこで本記事では、あなたの会社がSDGsに取り組む上で参考になる、中小企業のSDGs取り組み事例を動画も併用して簡単解説。
大きく2通りの事例に分けて、6社を紹介します。
取り組みの種類 | 企業名 |
---|---|
SDGs的製品の開発 | オイカワデニム |
キミカ | |
グリーンフィールド | |
業務運営のSDGs的改善 | 臼福本店 |
三承工業 | |
エムアールサポート |
例えば、調べた結果を上司に報告する場合でも、その企業がどれくらいの熱量で取り組んでいたのかなど詳しい情報を短時間に集められますので、ぜひ最後までご一読ください。
SDGs的製品を開発した中小企業(製造業)3社の取り組み事例

ここではSDGsに沿った製品を開発した中小企業(製造業)3社の取り組み事例を解説します。
有限会社オイカワデニム:捨てられていたメカジキの角を有効活用
宮城県気仙沼市に工場を構えるオイカワデニムは、地元の特産であるメカジキ(カジキマグロ)の角をアップサイクル(リサイクル)してデニム(メカジキデニム)を製造しています。
会社概要
会社名 | 有限会社オイカワデニム |
事業内容 | デニム衣類 企画・製造・卸し |
社員数 | 20名 |
設立 | 1981年4月 |
きっかけは、避難してきた漁師たちとの出会い
このメカジキデニムが生まれた事例のきっかけは、震災で工場に避難してきた漁師さんとの出会い。
高台にあるオイカワデニムの工場は、東日本大震災時に避難所として地域住民を受け入れていました。
及川社長は、そこで知り合った漁師さんから用途のないメカジキの角が漁獲の際に船上で捨てられていることを知りました。
大切な「命」の一部が捨てられているのをもったいないと感じた及川社長は、メカジキの角で服を作ることを着想。
この発想が、廃棄物削減を謳うSDGs目標12や海洋資源の保全を狙うSDGs目標14に繋がっています。
糸の開発
メカジキの角を活用するには、角を粉砕し、糸や生地にその粉を織り交ぜる必要がありました。
しかし、堅いだけでなく弾力性のある構造を持つ角の粉砕は困難。
試行錯誤に3年を要し、2015年にようやく完成しました。
メカジキデニム
この新素材は、宮城県産業技術総合センターでの分析により、これまでの汎用素材にはない特性(生体親和性や防臭性、抗菌性、難燃性等)を持つことが判明。
今では「メカジキデニム」として通販その他で販売されています。
株式会社キミカ:浜辺に打ち上げられた海藻を有効利用
キミカは、日本で初めて「アルギン酸」の工業生産に成功し、以来70余年にわたり海藻からアルギン酸を製造している専業メーカーです。
会社概要
会社名 | 株式会社キミカ |
事業内容 | アルギン酸やキトサンなどの マリンバイオポリマーならびに その応用製品の製造販売 |
社員数 | 173名 |
創業 | 1941年(昭和16年)5月 |
残渣も捨てることなく活用
「海藻は天恵の資源だ。ただ腐らせていてはもったいない。有効に活用できないだろうか」
浜辺に打ち上げられた海藻を眺める創業者の思いからスタートした、キミカ。
原料海藻の宝庫であるチリへ進出するに当たっても、生きた海藻を大型船で沖に出て刈り取ってしまう方法を取っていない。
海洋資源保全のため、手間がかかっても浜辺に打ち上げられた海藻を現地漁民たちに一つひとつ収集してもらうことを選択。
継続的かつ安定的にチリ漁民から海藻を買い取ることで、漁民の生活水準向上にも寄与しています。
さらに、アルギン酸を抽出したあとの海藻残渣も捨てることなく飼料、肥料、土壌改良材としてチリの現地近隣農家に提供。地域貢献も果たしています。
これらの活動がSDGs目標1(貧困の撲滅)や目標12(廃棄物削減)、目標14(海洋資源の保全)に貢献したと日本政府に認められ、キミカは第4回ジャパンSDGsアワードにて「SDGsパートナーシップ賞(特別賞)」を受賞しています。
有限会社グリーンフィールド:食卓と農業を繋ぐ豊かな社会に
有限会社グリーンフィールドは、スーパーやコンビニで見かけるカット野菜を製造する会社。
会社概要
会社名 | 有限会社グリーンフィールド |
事業内容 | 農産物の生産、加工、販売 |
社員数 | 154名 |
設立 | 2005年(平成17年) 8月 |
食卓と農業を繋ぐ豊かな社会
グリーンフィールドは、製造過程で出る野菜の未利用部分の廃棄を問題視していました。
そこで次のようなアップサイクルの施策を実施。
- ゴーヤーのわたやタネをお茶の原料として有効活用(約17t/年)
- キャベツやタマネギの外皮、にんじんの皮、セロリの葉などを野菜だしの原料に活用(約0.3t/年)
- キャベツの芯などの廃棄部分(約3t)を堆肥原料に活用
これらの以外の施策を含め、同社は「3つのしょく(食・職・色)でSDGsの達成に貢献」することを目指しています。
製造業の中小企業も取り入れ可能。業務運営のSDGs的改善事例

次には、業務の運営方法をSDGsに沿ったものへ改善した中小企業2社の事例を紹介します。
株式会社臼福本店:職場である漁船を魅力ある環境に
臼福本店は、明治15年(1882年)に魚問屋として創業し三代目から本格的に漁業に参画。
いまや七隻の漁船を有する伝統ある企業です。
会社概要
会社名 | 株式会社臼福本店 |
事業内容 | 遠洋まぐろ漁業 |
社員数 | 207名 |
創業 | 明治15年(法人化:昭和43年) |
漁業に人が集まりにくくなっている
「漁業に人が集まりにくくなっている」
漁業に人材が集まらない状況に危機感を抱いた臼井社長は、職場である漁船を魅力ある環境にすることを思い付きました。
そこで「人が集まる魅力ある漁船」をコンセプトに、乗組員ファーストな漁船「第一招福丸」を2020年に建造。
2020年度のグッドデザイン賞にも選ばれた第一招福丸は、安全に仕事がしやすく、かつ陸上にいるかのような安心感と快適性を備えています。
例えば、船内の内装はまるでホテル。
また、高速通信が導入されており、洋上でもネット動画の視聴やテレビ会議が可能。
遠洋漁船に乗っていながら家族とコミュニケーションをとれると、船員たちに好評です。
このように臼福本店は、SDGs目標8に謳われている働きがいのある人間らしい雇用を実現しています。
三承工業株式会社:建設業にあって社内女性比率56%
三承工業は、男性中心の建設業にあって社内女性比率56%を達成するなど、女性が働きやすい職場を実現した企業。
2021年には、女性の活躍推進に関する取り組み状況が優良な事業主として「えるぼし認定」を取得しています。
会社概要
会社名 | 三承工業株式会社 |
事業内容 | 外構工事 建築(新築、リフォーム) プラント設備 |
社員数 | 53名 |
受賞歴 | 第2回ジャパンSDGsアワード (2018年) えるぼし認定 (2021年) |
カンガルー出勤と、チーム夢子による改善活動
取り組みのきっかけは、社内アンケートの結果。
想像を超えたひどい結果を受けて社長が反省し、社内の風土改革に取り組んだのが始まりです。
社内女性比率56%の達成に至るまでの施策のうち、主なものは「カンガルー出勤」と、「チーム夢子」による改善活動。
「カンガルー出勤」は、子どもと一緒に出勤できてフルタイムで働ける制度。
この制度により子供を持つ女性も安心して働けるようになりました。
また、「チーム夢子」は、女性社員だけでなく、社員の奥さんや協力業者の奥さんも交えた女性中心チーム。
この「チーム夢子」により、女性が働きやすい職場の実現に向けて次の3点などの社内環境が整備されました。
- キッズルームの設置
- トイレの男女分離
- ノー残業デーの設定
これらの施策が社内の女性活躍を促進。
さらにジェンダー平等などSDGsの普及啓発にも取り組んだことが評価され、2018年には第2回ジャパンSDGsアワードを受賞しています。
株式会社エムアールサポート:ICTで危険作業を軽作業に
エムアールサポートは、道路やトンネルなど、インフラ整備の工事・測量の業務が中心となる土木業界の働き方を変えた企業です。
会社概要
会社名 | 株式会社エムアールサポート |
事業内容 | 測量調査・測量美術・ICT舗装修繕 |
社員数 | 13名 |
受賞歴 | 第4回ジャパンSDGsアワード (2020年) |
ICTの活用で危険作業を軽作業に転換
エムアールサポートは、道路の舗装や修繕に必要となる、路面性状の調査や測量を請け負っています。
路面性状とは道路表面の状態を指し、測量は道路の形や幅・長さなどを測定します。
これらの作業は、実施する際に車が往来する車道に人が出なければなりません。
危険と隣り合わせの作業であるため、これまでは限られた人だけが実施できました。
そこでエムアールサポートは、ツールの操作を覚えれば誰でも簡単にこれらを作業できるように改善。
具体的には、次のようなICTを活用した作業へ組み替えました。
- カメラを積んだドローンを上空で移動させながら道路の写真を連続撮影
- 車など不必要な映り込みを画像から除去
- 横断歩道や路面標識などの必要画像のみを残して、多数の画像を繋ぎ合わせ
画像処理はパソコンで操作するので性別や年齢、障がいの有無にかかわらず作業が可能。
テレワークでも行えるので、全国どこででもできます。
やがて全国から測量の仕事が舞い込むようになったことから、仕事を請負った都道府県にある障がい者支援施設に作業を委託するようにしました。
委託に当たっては、技術者を講師として各施設に派遣し障がい者にツールの操作を直接指導します。
しかし、マニュアルも整備されていることから、1日でほぼひと通りをマスター可能。
障がいのある方でも、都道府県ごとに定められた時間当たりの最低賃金以上が払えるものとしていますが、作業に習熟し時間当たり1,500円以上を稼ぐ人も現れるほどです。
このようにしてエムアールサポートは、性別や年齢、体力や障がいの有無に左右されない雇用を創出。
目標5「ジェンダー平等を実現しよう」や目標8「働きがいも経済成長も」、目標10「人や国の不平等をなくそう」などのSDGsに貢献し、ジャパンSDGsアワードの受賞に至っています。
製造業(中小企業)のSDGs取り組み事例のキモのまとめ
- オイカワデニムは、漁師さんとの出会いをきっかけにメカジキの角でデニムを作ることに着手。糸の開発で困難にぶつかるも、これを乗り越え「メカジキデニム」を生産。
- キミカは、創業者の意志を受け継ぎ、環境保護や地域貢献を果たしながら創業事業を育てている。
- グリーンフィールドは、自社製品の製造過程で出る廃棄物(野菜の未利用部分)をアップサイクル。
- 臼福本店は、漁業を魅力ある産業にするため、まるでホテルのような乗組員ファーストな漁船を建造。
- 三承工業は、女性が働きやすい職場を整備し、建設業にあって社内女性比率56%を達成した。
- エムアールサポートは、ICTの活用で危険な作業を誰にでもできる作業に転換。障がい者雇用にも貢献している。
ところで、本記事で知った中小企業の事例を踏まえて自社でできること考えたい。あるいは、考えることを上司などから求められているなら、次の【SDGs】会社でできることと、その見つけ方がきっと参考になります。
ぜひ、こちらも併せてご一読ください。
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