新聞やテレビ、雑誌などでSDGsという言葉を見る機会が増えましたね。
最近は学校でもSDGsが教えられているので、こんなシーンも生まれます。
それもそのはず。10代のSDGs認知率は7割を超えていますから。(電通:第4回「SDGsに関する生活者調査」)
SDGsについてちゃんと知っていれば、学校で学んだお子さんとも会話が進みますね。
本記事の前半では、SDGsの読み方から17目標の項目、今なぜSDGsに取り組み必要があるのかなどSDGsの概要を簡単に解説します。
また、記事後半では、もう少し詳しく知りたい方に向けて、SDGsが誕生する経緯や誕生後の国内外の動向について簡単に触れます。
ですので、お子さんだけではなく、大人を相手に説明しても十分な内容となってますので、ぜひ最後までご一読ください。
簡単に説明、SDGsとは :まずはわかりやすく概要を
SDGsとは何か、まずは概要をさくっと解説します。
SDGsの読み方と意味
SDGsは、エスディージーズと読みます。
「Sustainable Development Goals」の略。
「持続可能な開発目標」のことです。
SDGsの誕生
2015年の国連にて、2030年に達成すべき目標として決まりました。
具体的には、2015年9月に開催された国連サミットで「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択され、その中に記載されている2016年~2030年までの国際目標を指します。
つまり、世界中の人が目指すべきと国連で決めた共通の目標ということ。
SDGsの17目標
SDGsには17の目標があります。
各目標は、経済や社会、環境に関する以下の分野のもの。
1:貧困 | 7:エネルギー | 13:気候変動 |
2:飢餓 | 8:経済成長と雇用 | 14:海洋資源 |
3:保健 | 9:インフラと産業化 | 15:陸上資源 |
4:教育 | 10:不平等 | 16:平和 |
5:ジェンダー | 11:持続可能な都市 | 17:達成手段 |
6:水や衛生 | 12:持続可能な消費と生産 |
各目標の下には、さらに細かく分かれた具体的な目標(ターゲット)があり、全部で169のターゲットがあります。
なぜ今、SDGsに取り組むのか?
なぜ今、SDGsに取り組むのか?
第一には、このままでは地球がもたないからです。
地球環境に与える人類の影響が大きくなり、いくつかの指標で地球環境は限界を超えてしまっています。
下図は、地球環境の状態を9つの指標で表わしたグラフ(プラネタリー・バウンダリー)です。
このグラフ(プラネタリー・バウンダリー)によると、気候変動や生物地球化学的循環(窒素とリンの生物圏への流入)、土地利用変化、生物圏の一体性(生体系機能の消失と絶滅の速度)の指標で限界値を超越。
第二には、経済や社会、環境の三つの側面で、バランスがとれた形で人類の課題を解決しなければならないからです。
環境保護のためだからといって経済発展を放棄することはできません。
途上国を始め世界全体の人々の幸せを向上させるためには経済発展も必要だからです。
また、貧困や格差の問題はテロリストが生まれる一因となっており、経済の問題は犯罪など社会問題とも密接な関係があります。
そこで、経済・社会・環境を一体的に捉えるSDGsに取り組む動きが生まれました。
簡単に説明、SDGsとは :もう少し詳細をわかりやすく
ここまでは概要だけに絞って解説しました。
次からは、SDGsをもう少し深く勉強したい方に向けて解説します。
環境や開発、社会が統合されてSDGsが誕生
SDGsは、それまでの国際会議でなされていた「環境」と「開発」の2つの大きな議論の潮流がひとつになって生まれました。
その経緯について解説します。
地球サミットが地球環境問題への注目を喚起
「環境」に関する議論としては、1992年ブラジルのリオ・デ・ジャネイロで当時最大規模の国連会議である国連環境開発会議(通称、地球サミット)が開催されました。
この会議は、気候変動枠組条約や生物多様性条約の署名が開始されるなど、地球環境問題に対する注目を集める契機になりました。
MDGsは開発途上国の課題解決に主眼を置く
一方、「開発」に関する議論としては、2000年9月の国連総会で途上国の課題解決を目指すミレニアム宣言が承認されました。
その宣言の要旨は、ミレニアム開発目標(MDGs)としてまとめられています。
そこに目標設定されたのは、例えば貧困や飢餓の撲滅、初等教育の普及、乳幼児死亡率を減らす取り組みなど。
いまのSDGsの踏襲する内容が多く含まれているものの、開発と環境に関する諸課題がバランスよく盛り込んだ形ではありませんでした。
リオ+20にて「環境」と「開発」が統合、そしてSDGsへ
その後、2012年に再びリオ・デ・ジャネイロで国連持続可能な開発会議が開催されます。
この会議は通称「リオ+20」と呼ばれ、環境と開発に関する議論が統合された「我々が望む未来」という成果文書が合意。
この合意文書のなかでSDGsについて触れられています。
その後、「環境」「経済」「社会」が明確に統合されたSDGsが、2015年の国連にて採択されるのに至ります。
以上、SDGsが生まれるまでの経緯について解説しました。
より詳しく知りたい方には、国際会議における議論の流れが克明に解説された以下の書籍がおススメです。本記事もこの本を参考に書いています。
参考書籍 SDGs(持続可能な開発目標):中公新書世界に向けてSDGs日本モデルを発信
国連でのSDGs採択を受けて、日本政府はSDGsの実施体制を構築しました。
具体的には、内閣総理大臣を本部長、官房長官及び外務大臣を副本部長、全閣僚を構成員とする「SDGs推進本部」を2016年5月に設置。
中長期戦略である「SDGs実施指針」も策定しました。
さらに、「ジャパンSDGsアワード」を2017年に発足させ、SDGs達成に資する優れた取組を行っている企業・団体などを毎年、表彰しています。
2018年からは、優れたSDGsの取り組みを提案する都市·地域を「SDGs未来都市」として選定。
特に先導的な取り組みを行っている企業・団体を「自治体SDGsモデル事業」として資金面での支援を行っています。
世界に向けては国内での取り組みを「SDGs日本モデル」として発信しています。
SDGs日本モデル
- 自治体主導の官民連携のパートナーシップによる地方創生
- 企業・金融の力を生かした社会的投資の拡大とイノベーション
- 世代、ジェンダーを超えたパートナーシップによる住民が主役となるSDGsの推進
ダボス会議を契機に経済界でも機運が高まる
SDGs採択後の世界の動きとしては、2017年に開催された政治経済のリーダーズ会議である「ダボス会議」が象徴的です。
この会議にて、SDGsに取り組むことで12兆を超える経済価値と3億8,000万人に雇用が創出されるとの推計が発表。
これにより経済界にて「SDGsを取り入れよう」という機運が高まりました。
【簡単に説明】SDGsとは:わかりやすいまとめ
- SDGsとは、全世界が目指すべきと国連で決めた持続可能な開発目標のこと。
- プラネタリー・バウンダリーにて表現されるように地球環境が限界を超えているので、今取り組み必要がある。
- SDGs以前にあった「環境」と「開発」に関する議論が時間を経て統合され、「社会」面も加わった3つの側面を一体的に扱うSDGsが生まれた。
- 日本は世界に向けて「SDGs日本モデル」を発信している。
次には、本記事を読んだ後におすすめの別記事を紹介します。
次の記事では、個人で実践できるSDGsにイイことを解説しています。
SDGsについて知っただけではもったいない。次はこれを読んでぜひ行動に移してみてください。
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