毎日の生活において、家計の節約と環境への配慮は重要ですよね。
関東圏に住む皆さんに、意外かもしれない選択肢をご提案します:東京ガスの「さすてな電気」。
このサービスは、エリアが限られているなどデメリットになるかもしれない要素がいくつかありますが、環境に優しくコストも抑えた電力供給を実現しています。
これまでに新電力を3社乗り換え「さすてな電気」を契約していた筆者が、その経験を踏まえてメリットやデメリットを中心に「さすてな電気」を詳しく解説します。
家計と地球環境への配慮、このふたつのバランスを考えているあなたにとって、きっと手助けになることでしょう。
記事後半の加入方法の解説では、期間限定のお得な加入方法についても触れています。
ぜひ最後までご一読ください。
さすてな電気の特徴
さすてな電気とは、東京ガスが運営している電力供給サービスです。環境やSDGsに関心を持つ社会人、家庭を預かる主婦の方にお薦め。
特に、次に挙げるような3つの特徴がメリットになりますね。
さすてな電気の特徴
さすてな電気3つのデメリット:エリア・セット割・問合せ
まずは、あなたにとってデメリットになるかもしれない点を解説します。
サービスエリアが狭い:デメリット①
最大のデメリットは、サービス展開しているエリアが狭いこと。
さすてな電気のサービスエリアは、東京都、栃木県、埼玉県、神奈川県、群馬県、茨城県、千葉県、山梨県、静岡県の富士川以東です。東京電力のエリアと同じ。
狭いといっても首都圏をまるまるカバーしているので十分に広いですが、残念ながら上記以外にお住いの方は加入できません。
さすてな電気を選択できない人がいることがデメリットのひとつです。
ガスとのセット割引がない:デメリット②
さすてな電気は東京ガスが運営していますが、ガスを東京ガスと契約しているからといってセット割引はありません。
もしセット割引を希望するなら基本プラン(東京ガスだけど、さすてな電気ではない料金プラン)を選択することになります。もちろん、東京ガスのガスと電気(基本プラン・ずっとも電気3) のご使用場所およびご契約者が同じであり、ガス料金と電気料金を合算してお支払いいただける方が対象ですが。
逆に言うと、さすてな電気に乗り換えても、縛りなくガスは好みの会社と契約可能。
問い合わせ方法が限定的:デメリット③
問い合わせの方法は、電話ではなく基本的にWebページからの質問投稿になります。
人によっては、これをデメリットと感じるかもしれません。
といっても、お問い合わせページに「よくある質問」に対する答えが掲載されています。
ここを見ても解決しない場合に質問フォームで問い合わせることになりますね。
でも、最近はどこの企業の問い合わせも、多かれ少なかれWebに誘導されているので、さすてな電気だけが特別に不便だとは感じません。
さすてな電気の料金は東京電力と同等とお手ごろ:メリット①
ここからはメリットになる特徴を解説します。
メリットのひとつは料金体系。
さすてな電気は、実質再生可能エネルギー100%をウリにしている電力サービスのなかでは料金がお得です。
具体的には、東京電力スタンダードS/Lと同水準の料金(*)。
通常、再エネ実質100%を実現しようとすると、それだけでコスト高となり料金は少し高めにならざるを得ないはずです。
ところで、さすてな電気は、どのようにして料金を抑えているのでしょうか? 詳しく解説します。
(*)東京電力エナジーパートナー株式会社の電気料金プラン「スタンダードS/L」(2024年4月時点の料金)と「さすてな電気」(2023年9月時点の料金)を比較して各使用量における【さすてな電気と東京電力エナジーパートナー株式会社の料金差額÷東京電力エナジーパートナー株式会社の料金】が1%以下になります。なお、さすてな電気の電力プランは燃料費調整の上限がありません。これにより、燃料費の高騰によって上限を設けている他社の料金プランと比べ、高くなる場合があります。
電気料金の内訳
まずは電気料金の決まり方をおさらいし、電力会社によって違いが出る項目を確認しましょう。
月々の電気料金は次の計算式で決まります。
電気料金=基本料金+電力量料金+再エネ賦課金
このうち再エネ賦課金の算出に使われる「再生可能エネルギー発電促進賦課金単価」は、電力会社によらず全国一律。
電力会社によって違いがあるのは「基本料金」や「電力量料金単価」「燃料費調整単価」です。
基本料金/電力量料金単価:さすてな電気
さすてな電気が設定している、一般家庭向けプラン(A契約タイプ)の基本料金や電力量料金単価は、下表のとおり。
基本料金 (税込み) | 10A | 295.24円 |
15A | 442.86円 | |
20A | 590.48円 | |
30A | 885.72円 | |
40A | 1180.96円 | |
50A | 1476.20円 | |
60A | 1771.44円 | |
電力量料金単価 (税込み) | 120kWhまで | 30.00円 |
120kWhを超え 300kWhまで | 36.60円 | |
300kWhを 超えたもの | 40.69円 |
関東地方にお住いの多くの方が契約されている、東京電力の規制料金プラン(従来電灯B)と全く同額です。
このように基本料金や電力量料金単価が抑えられています。
さすてな電気の燃料費調整単価
さすてな電気の燃料費調整単価も、できるだけ低く抑えられています。
燃料費調整単価は、発電に使われる燃料の市況価格をもとに毎月改定。
最近は、東京電力の規制料金プランと同額です。
しかし、東京電力の規制料金プランでは上限があるのに対し、さすてな電気には上限が設定されていないことに少しリスクを含んでいます。
実際に、原油などのエネルギー資源が高騰した局面で、さすてな電気の燃料費調整単価が大きく上回っていました。
このリスクを許容できるなら、さすてな電気はあなたにお薦めできます。
東京電力との料金比較
ここでは具体的に東京電力と料金比較をしてみましょう。
下図は毎月改定される燃料費調整単価を織り込んだ料金(税込み)を比較したもの。
グラフからわかるように、契約容量30Aと40Aの両方にて、さすてな電気の料金は東京電力(一般家庭向け従量電灯B)とほぼ同額です。
確かに下記のような声があるように電気代は安くはならないかもしれません。
ですが、再エネ実質100%の電気の供給を受けていて、そうではない東京電力と同じ料金であるのは、お得だとも言えますね。
東京ガスの基本プランとの比較
ところで、東京ガスは、さすてな電気以外にも「基本プラン」を提供しています(基本プランのサービスエリアも首都圏および富士川以東の静岡県)。
東京ガスの基本プラン | さすてな 電気 との差額 |
||
---|---|---|---|
基本料金 (税込み) | 10A | 295.24円 | 0円 |
15A | 442.86円 | 0円 | |
20A | 590.48円 | 0円 | |
30A | 885.72円 | 0円 | |
40A | 1180.96円 | 0円 | |
50A | 1476.20円 | 0円 | |
60A | 1771.44円 | 0円 | |
電力量料金 単価 (税込み) | 120kWhまで | 29.90円 | ▼0.1円 |
120kWhを超え 300kWhまで | 35.41円 | ▼1.19円 | |
300kWhを 超えたもの | 37.48円 | ▼3.21円 |
表に示したように、基本プランの基本料金はさすてな電気と同額。
でも、電力量料金単価は電力使用量が多くなると、さすてな電気や東京電力より安くなりお得です。
しかも、基本プランの電気に加えてガスも東京ガスなら、セット割でさらにお得。
再エネ由来の電気にこだわらない方には、こちらの選択肢もありますね。
料金がお手ごろな理由
話をさすてな電気に戻しますと、さすてな電気にはガスとのセット割のようなものはありません。
たとえ、ガスの契約が東京ガスだったとしても。
ここに、さすてな電気がエコな電気の割に料金が高くない理由があります。
さすてな電気は、サービスをシンプルにして運営経費を掛けないことで料金を抑えています。
例えばオプションサービスのようなものもありません。
契約した後に作られる「マイページ」もシンプル。
運営経費を抑えているなという印象です。
このように、さすてな電気はサービスを電気の供給に絞ることで料金を抑えています。
エコな電気に関心があるあなたには、ぜひ一度試していただきたいですね。
さすてな電気で環境に貢献可能:メリット②
さすてな電気を使うことによって、個人で環境やSDGsに貢献できるというメリットもあります。
つまり、あなたがお子さんや地球の将来の環境を守る使命を果たせるということ。
その理由のひとつは、さすてな電気の供給する電気が実質再生可能エネルギー100%だから。
非化石証書で実質再エネ100%
さすてな電気が供給する電気の電源構成は下図のとおり。
「非化石証書」という政府が創設した仕組みを活用してCO2排出量実質ゼロ(*)を実現し、実質再生可能エネルギー100%をうたっています。
(*)再エネ指定の非化石証書の使用により、CO2排出量が実質ゼロになることを意味します。非化石証書市場の状況によってはCO2排出量実質ゼロにならない場合があります。
例えば、一戸建てにお住まいの3人家族がさすてな電気に切り替えた場合、平均で年間約2トンのCO2排出量を抑制したことになります。
これは約231本のスギが1年間に吸収するCO2に相当。
加入と同時に苗木1本の植林
さすてな電気で環境やSDGsに貢献できるもうひとつの仕組みは植林です。
さすてな電気は、新たな契約者が加入した時点で1,000円を植林や森林保護のために寄付しています。(ただし、今後変更になる可能性はあります。)
もちろんあなたが加入しても1,000円が寄付されます。
目に見える形でSDGsや環境に対して貢献できるのも、さすてな電気のメリットですね。
さすてな電気の経営は安定している:メリット③
さすてな電気の経営は安定しています。
この点もメリットのひとつですね。
ロシアのウクライナ侵攻に始まる電力卸市場の高騰によって、事業撤退や倒産した新電力は少なくありませんでした。
かつて私も契約していた新電力(グリーナ)が事業撤退するという経験をしました。
契約している電力会社が事業撤退や倒産などすると面倒。
一方、東京ガスは関東地方にて都市ガス事業を展開し、世界最大の都市ガス事業者。
東京ガスグループの2023年3月期の売上高は3兆3,000億円、営業利益は4,200億円と非常に安定した経営基盤を有していて安心です。
また、東京ガスは家庭向けに電力供給している新電力のなかで最大(資源エネルギー庁 電力需要実績より)を誇っています(*)。
(*)資源エネルギー庁電力調査統計「電力需要実績」(2023年11月時点)における、みなし小売電気事業者以外の事業者(新電力)での低圧電力の需要実績値。
さらに、自前の発電手段を持っているので、電力卸市場での価格高騰の影響も受けにくいですね。
私が契約していた新電力(グリーナ)が事業撤した際には、幸いにも大した混乱なく契約が別の新電力に引き継がれて事なきを得ました。
でも、そのようなことに巻き込まれないに越したことはないですね。
そのようなリスクが低いというさすてな電気はお薦めです。
さすてな電気の加入方法は2通り
さすてな電気を気に入った方のために、ここでは加入手続きを紹介します。
申し込み方法は大きく分けて次の2通り。
さすてな電気の申し込み方法
- 電力比較サイト経由で申し込む
- さすてな電気の公式ページから申し込む
電力比較サイト経由で申し込む
お住まいの地域や電気の使い方を入力すれば、あなたに合った電力会社の料金プランを見つけられる電力比較サイトというものがあります。
例えば、代表的な電力比較サイトは次のようなもの。
エネチェンジについては エネチェンジの使い方 であなたに合う料金プランの探し方を詳しく解説しています。探し方に不安がある方はぜひ参考にしてください。
さすてな電気の公式ページから申し込む
こちらの手続きもとても簡単。WEBでの申し込みに限りますが、5~10分ほどで済みます。
いま利用している電力会社での「現在の契約番号」と「供給地点特定番号」を入力する必要があります。検針票やお客様情報などで確認しておいてください。
まずは さすてな電気の公式ページ
申し込みフォームの入力
「お切替えの方はこちら」をクリックすると、申し込みフォームになります。
「現在の契約番号」や「供給地点特定番号」を始め、契約に必要な情報を入力します。
会員登録
必要事項の入力を終えると、登録したメールアドレスに下記のようなメールが届きます。
メール本文の指示通りに会員登録を完了させます。
料金支払い方法の登録
さらに、別のメールにて届いている「お支払い方法登録のご案内」の指示にしたがって、電気料金の支払い方法を登録すると、下記メールが届いて手続き完了。
供給開始
他の電力会社からの切り替えの場合、さすてな電気からの供給が開始されるのは、手続きが完了したあとの初めの電気検針日。
供給が開始されると次のようなメールが届きました。
これで晴れてさすてな電気からの電気を使用開始です。
さすてな電気の解約も簡単
ところで、さすてな電気に入った後、やっぱりちょっと違うなとなったとき、解約はすぐにできるのでしょうか。
結論、解約も簡単。
以下で、さすてな電気の解約金や解約方法を解説します。
解約金
さすてな電気では解約金は発生しません。
契約期間の縛りがないからです。
例えば、他の電力会社であるような、最低1年は契約を続ける必要があるといったことがありません。
解約方法
解約方法も簡単です。
電気を最後に使用する日から、2営業日前までに申し込めばOK。
ただし、ふつうは次の電力会社を見つけているでしょうから、その時は切り替え先の電力会社に連絡するだけで済みます。
切り替え先の電力会社が「さすてな電気」の解約手続きをするので、あなたが「さすてな電気」へ連絡する必要はなし(*)。
なので、比較的気軽に契約してみることができますね。
(*)申し込み以外の切り替え手続きは原則不要ですが、電気メーターの設置状況やいまの電力会社との契約状況により、別途費用の発生や現電力会社へのご連絡をお願いされることもあります。
さすてな電気の感想やマイページの使い勝手
さすてな電気の感想
ここでは、さすてな電気に加入していたときの感想を私なりにお伝えします。
ひと言で感想を言うなら、さすてな電気は「余計なお世話をしない」。
他の電力会社のなかには、「生活なんちゃらサービス」のようなものが付いている料金プランがあったりしますよね。
例えば、ガス機器や水道設備が壊れたり使用上で困ったことがあったりするときに、電話1本で助けに来てくれるようなもの。
さすてな電気には、そのようなサービスがありません。
また、登録したメールアドレスにサービスの売り込みや広告が配信されることもありません。
ただひたすら環境に優しい電気を、安定的にしかも静かに供給し続けてくれているという感じです。
マイページの使い勝手
「余計なお世話がない」のはマイページについても言えます。
電気使用量や電気代の請求額を見られるマイページへは、ログインページから入ります。
非常にシンプルなログインページ。
マイページでは、電気使用量や請求額、その他登録情報を確認できますし、CO2削減に自分がどれだけ貢献したかもわかります。
これを見ると「ほぉ~、先月はこれだけ環境に貢献したのか。」と自己満足に浸れます。
電気使用量は月ごとや日ごと、時間帯ごとにグラフで確認可能。
何の不満もありません。
なるほど、良さげかもと思った方は、さすてな電気の公式ページもチェックしてみてください。
>> さすてな電気の公式ページを見る
さすてな電気利用の全て:料金メリットと隠れたデメリットのまとめ
本記事では、さすてな電気を利用していた筆者が「さすてな電気」の全てを解説。
- 環境に優しい:さすてな電気は、再生可能エネルギー実質100%を実現しながら、料金を東京電力と同等に抑えています。
- デメリットの存在:限定的なサービスエリア、ガスとのセット割引の不在、限定的な問い合わせ方法などがデメリットとして挙げられます。
- 簡単な加入・解約手続き:WEBからの申し込みで完結し手続きは簡単で、解約も契約の縛りがなく柔軟に行えます。
- 安定した経営背景:東京ガスが運営しており、経営の安定性は高いです。
記事中に挙げたデメリットが気にならないなら、環境性と経済性のバランスを考えるあなたにとって、さすてな電気は良い選択肢になると思います。
ご興味あれば、ぜひ公式ページもチェックしてみてください。
もし、さすてな電気以外で、再エネ100%の電気を供給する電力会社を検討するなら 再生可能エネルギー100%電力会社のおすすめ5社と選び方 を参照ください。
さすてな電気以外に4社を加えて解説しています。横並びで比較できますね。
あるいは、いまいちど電力会社を乗り換える際の注意事項を確認しておきたいなら、トラブル回避の秘訣、クーリングオフなど:電力会社乗り換えで失敗しない! がおすすめです。
デメリットをしっかり把握し、デメリットが影響しないよう対策すれば、電力会社を乗り換えるのは全く怖くありません。
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